その教え
ウパデーシャ、ヴェーダーンタの教えを理解するために、『チャーンドーギャ・ウパニシャッド』の第6章にある対話を見てみましょう。ウッダーラカという名の父親と、その息子シュヴェータケートゥの対話です。父親はシュロートリヤで、12歳の息子をアンテーヴァーシーとしてグルクラに送り込みます。
アンテーヴァーシーは家族として、グルと共に過ごす者を意味します。彼はグルのもとで生活し、勉強し、学びにおいて成長します。シュヴェータケートゥはグルクラに12年間滞在しました。彼は優秀な学生で、自分は優秀だと自覚し、教えられたことは何でも繰り返すことができる、アヌーッチャーナマーンでした。彼のプライドの高さはその足取りにも態度にも表れていました。24歳でグルクラを卒業した彼は、故郷に戻りました。
父親はシュヴェータケトゥの態度に憤慨しました。彼は彼を呼んで「シュヴェータケートゥよ、君は先生に、あの知識、yena vijñānena sarvaṃ vijñātaṃ syāt、それを知ることですべてを知ったのと同様になることを尋ねたか?」と訊きました。シュヴェータケートゥは、「私の先生はそれを知らなかったと思います」と答えました。質問は「尋ねたか」でしたが、答えは「先生は知らなかったと思います」でした。シュヴェータケートゥの思考回路がどうなっていたのか、想像してみないとなりません。「私は優秀な生徒だと思われていた。もし、師がそのような知識を知っていたら、きっと一番弟子である私に教えてくれただろう」と思っていたかも知れません。そして父親の表情にはきっと、「私が何と聞いた、それに何と答えるんだ?私はお前の師匠がこのことを知っているかどうかなど聞いていない。ただ、お前がその知識を求めたかどうかを聞いただけだ。求めなかったと言えば良いのだ」という思いが現れていたでしょう。シュヴェータケートゥは自分の間違いに気がつきました。彼は、求めなかったのはそのような知識があることを知らなかったからだ、と理由を述べました。そして、父に「そのような知識があるのですか?」と尋ねました。ウッダーラカは、「そうだ、そのような知識があるのだよ」と答えました。